吟醸蔵巡り 第18回 浅間酒造株式会社
代表取締役社長 櫻井芳樹氏
●グループ企業全体で直接自家販売
ホテル櫻井外観
神戸:お話を伺って見ると兵庫県産の山田錦を粉まで存分に使いこなしていらっしゃる訳で、口で言うのはたやすいですが、1社でここまでやるのはなかなか難しいと思います。
やはりこちら様のようにホテル事業などグループ企業を含めてレストラン、観光センターなど自家販売体制がしっかりされているからなのだと思いますが、現在のところ自家販売の割合はどれくらいなのでしょうか。

櫻井:大体関連グループ全体で70%程度は直接売ってしまいますね。
実はこう言う販売形態になった発端は昭和38年頃からです。
私がちょうど中学生の頃でしたが、東京市場に灘、伏見の大手さんが本格的に出て来られたので、「こりゃ東京はダメだ、地元の旅館で使った方が良いぞ」と言うことだったんです。


神戸:昨晩ご案内の「草津白根観光ホテル櫻井」に泊まらせていただきましたが、この景気の時代に観光バスが押し寄せているんですね。
しかも大変な大型ホテルなのにサービスも食事もがきめ細かく配慮されていて感動しました。

櫻井:実はお酒だけではなくホテルで出している食材も自社製のものが多いんです。
例えば斜面の雑木林を利用してシイタケを作っていまして、ホテル櫻井ではこれを使っています。わざわざ群馬にまで来ていただいて次々と出てくるのが外国産の材料では申し訳ないですからね。
もちろんこちらの観光センターでは外国産の材料を使ったお土産は置いていませんし、可能な限り地元地域のものに絞っています。
櫻井社長

神戸:兵庫県産の山田錦との出会いはどんなかたちだったのでしょうか。

櫻井:15年ほど前でしょうか、新酒鑑評会の審査員の先生から、自社内で精米することと山田錦を使っていないと評価されないとの話を聞いたわけです。
それでJAみのりさんの前身の農協に山田錦を売って欲しいと交渉に行ったんです。
そうしたところ当初は難しいと言われていたんですが、当時の組合長さんにご理解いただいて、500俵でしたか何とか手に入れることが出来たんです。
当時、群馬県の酒造組合には兵庫県産の山田錦は入っていなかったんですが、これが口火となって以後入れていただくようになりました。

神戸:全国のお蔵元を回らせていただいて、いつも身が細る思いをするのはこうしたお話が出るときです。
かつてはお蔵元が兵庫県産の山田錦を売って欲しいと頭を下げて来られたんですね。
当時私は自動車関係の会社から農協に入ったばかりでしたが、これはおかしいと思った訳です。 ものを売る側が頭を上げていて、買う側が頭を下げるこれは本末転倒ですわ。
そうこうしている内にだんだんとお米が余り出した。これでやっと商売本来の姿に戻って、組合長になった私がお蔵元に「買っていただいてありがとうございます」と頭を下げて回る事になった。
それでお蔵元が「買ってやろう」と言ってくださる。これが正常な姿ですわ。(爆笑)




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