●山田錦を余すところ無く使い切る
神戸組合長(以下、組合長):こちらのお蔵は観光物産センターと一体となった珍しい形態の蔵ですね。いつ頃からこういうかたちでおやりになっているのでしょうか。
櫻井社長(以下櫻井):当初私どもの蔵は、江戸時代の寛政年間に長野原町大津で櫻井酒造店としてスタートしたと伝えられています。
その後明治の終わり頃にこちらから2キロほど離れた川沿いの反対側に移転し、そこで観光センターと一体となった蔵を造りました。
そして平成10年に現在の場所で観光物産センターと観光酒蔵を併せた形態の蔵を作った訳です。
神戸:文字通り観光を軸としたお蔵なんですね。しかし事前の知識として観光蔵と言うと、見世物的なものを想像してしまいますが、来て見るとびっくりするような本格的な施設ですね。
櫻井:私どもの蔵の特徴としましては、日本酒と並行して、吟醸・大吟醸酒を造る際に出る上白粉を原料とした焼酎や、リキュール類まで造っていることでしょう。
特に大吟醸酒を造る際には高価な兵庫県産の山田錦を50%も削ってしまうわけですね。これを利用して焼酎を仕込むと、やはり良い材料を使って仕込むと良い焼酎ができますので、まったく捨てるところがありませんね。
神戸:日本酒を主としながら原料を余すところ無く利用されている訳ですが、この場合の粉としても良い材料と言うのは具体的にはどんなことなんですか。
櫻井:やはりたんぱく質の含有量とか含まれている成分のバランスの良さなのかなと思います。
焼酎の仕込みに昨年は乾燥酵母だけを使ったのですが、今年は自社内で酵母を育てて使っています。この酵母はどうかなと試して来ましたが9月にタンク4本に仕込んだものがちょうど良い出来になりました。焼酎は2年ほど寝かしてから出す訳ですが、この酵母の場合は2年で5年分ほどまろやかさが出て来た実績があるんで、やはり酵母が良いのだろうといっているんです。
神戸:兵庫県産の山田錦の削り粉を使って、水も酵母も日本酒用のものを使って焼酎を造られたわけですね。
櫻井:はいそうなんですね。一方で原料を無駄にしない逆の試みもやっています。兵庫県産の山田錦を使って精白度を65%までに抑えた晩酌用の低価格のお酒づくりにチャレンジしています。
神戸:やはり毎日飲むお酒にはそんなにお金は使えませんから、低価格でありながら掛け米までオール兵庫県産の山田錦の酒を飲めると言うのは素晴らしいですね。
これも削り取って上白粉になった部分について知り尽くしているからこそ出来ることなのでしょうね。
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