●素性のはっきりした米が必要
神戸:ところで近年の出荷量はどんな状況でしょうか。
宮坂専務:ここしばらくは横ばいの状態です。ただ近年は吟醸酒、純米酒等の特定名称酒の割合が増えていまして、いただくお米の量に対して出来る酒の量は減っているんですね。
つまり特定名称酒は精米により削り取ってしまう量が多いわけですし、手間隙かけて造りますから、生産性が悪いわけです。
それでご注文に間に合わせられないお取引先も出てしまい、ご迷惑をかけることも起こっています。
神戸:経済状態が思わしくなく、酒が売れないと言われる時代に大変うらやましいお話ですね。
やはり消費者の皆様から真澄さんのお酒が支持されている結果なのでしょうね。
宮坂専務:今年は市販量で特定名称酒が75%程度になると思います。「飲んでおいしいお酒」に加えて「安心・安全」を追求すると、ますます素性がはっきりしたお米が必要になります。
私どもは長野県の蔵ですので、素性のはっきりした県内産の酒造好適米を使うことは当然ですが、同様に素性がはっきりしている兵庫県産の山田錦は今後ともぜひいただきたいお米です。
神戸:JAみのりとしては、昔あった村米制度のようなかたちで、お蔵元と山田錦生産者が互いに顔の見えるかたちでのお付き合いになるようにしたいと考えています。
お蔵元と生産者が代替わりされてもそれを超えて、親、子、孫と、お付き合いの出来るように持って行きたいのです。
宮坂専務:それはありがたいお話です。ぜひお願いしたいですね。
●素性のはっきりした米が必要
神戸:この山田錦生産者に毎年種籾(たねもみ)を供給し更新することが、我々JAみのりの大きな役割でもあり、大変気を使っています。なぜ「兵庫の山田錦」が高い評価を得ているのか、意外に知られていませんので、この点についてご説明させていただきます。
まずご存知の通り山田錦は「山田穂(やまだぼ)」を母に、「短稈渡船( たんかんわたりぶね)」を父として人工交配によって、JAみのり管内の兵庫県の試験地で生まれたわけです。
しかし繰り返し栽培(自家採種)を続けますと、他の品種の花粉と交配が起こったり、他の品種の籾(モミ)が混ざったりすること等で形質がだんだんと揃わなくなって来ます。
現在兵庫の山田錦として出荷しているものは、県で栽培している山田穂と短稈渡船を元に、人工交配から始めます。
そして試験地から種子農家に渡り種籾として吟味栽培されて、山田錦の生産農家に渡る段階で4代目になります。
これを栽培してお蔵元に納める訳ですから5代目になります。
山田錦生産農家の種子更新率100%に近いのですが、種籾はそれなりに高価ですので、生産者の中には自家栽培で増やしもう1代を経て出荷する例が若干残っていますので、JAみのりでは毎年の種子更新を強く奨めている訳です。
ではなぜ種籾が高価なのかと申しますと、栽培途中で異形の穂等、ちょっと怪しいものはドンドン抜きます。
出来た種籾の段階でも選別過程が大変厳しい訳です。
なぜなら1粒の悪い形質の籾は1年後には1800粒に増えます。
2年後には1800×1800と言うことになりますので、勢い厳しくなるわけです。
それで結果として種籾の収量は一般と比べて1/2程度に落ちますし、途中での手間隙が大変ですので、必然的に高価なものになるわけです。
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