吟醸蔵巡り 第10回 五十嵐酒造株式会社
代表取締役社長 五十嵐智勇氏
●山田錦は春に十分味が出てさらに秋上がりをする
神戸組合長
神戸:兵庫の方にもお越しいただいておりますので、五十嵐さんとはよくお目にかかっておりますが、そもそもの山田錦との出会いはどんなところからでしたか。

五十嵐:杜氏が「山田錦に優る米はない」と言うんですね。ところが人気が高くておいそれとは手に入らない。
それで10数年前に「美米美酒美食倶楽部」と言う会があることを知りまして、そこで「龍力」の本田商店さんに紹介されまして、JAみのりさんの前身である当時の農協さんに通うようになりました。私達から見た山田錦については杜氏の似内(にたない)から申し上げましょう。

似内:私も岩手で米を作っている農家ですので良く分かるのですが、どう考えても「兵庫の山田錦」以上の酒米は無いんですね。酒米の産地ではどこも一生懸命やっているわけですが、これに優るものは出来ていません。品種の問題だけでなく気候、土壌の違いがあるのだと思いますが、兵庫の山田錦は素晴らしいんです。
杜氏の立場から言いますと、麹(こうじ)が造り易い。掛米(かけまい)に使ってもちょうど良い溶け具合になり、上質でデリケートな味の酒が出来ます。
では他の酒米では良い酒ができないかと言うとそんなことはないんです。しかし例えば精米と言う工程は日本酒造りに不要なたんぱく質や脂質の多い外側を削って行くわけですが、この作業で米が割れてしまって歩留まりが悪いとか、新酒鑑評会のある春先には金賞が取れるような良い味が出ていても夏を越すと落ちてしまう。 あるいは、逆に春先にはさほどではなかったのに、夏を越すと良い味になる「秋上がり」をするものとか、それぞれの米によって特性があり、それぞれに良いところがあるのです。
まあそれらの性格を上手く読んで仕込むのも杜氏の仕事なんですが。やはり兵庫の山田錦となってしまいますね。

五十嵐:兵庫の山田錦はこれら全てが高いレベルでバランスが採れているんですね。結果として失敗が少なくなるので経営者としても大変助かるわけです。もっと言いますと、似内からは同じ農家の米を入れてくれと言われます。


左:五十嵐社長    右:似内杜氏
似内:品種、気候、土壌に加えまして、農家毎に肥料の入れ方や日々の世話の仕方など、米作りへの取り組みの違いで米が違うと思います。それで毎年違う農家の不揃いの米でなくて、同じ農家の米で揃えてやれたらもっと繊細な酒造りが出来るわけです。

神戸:私達も生産者側から見てその辺がだんだんと気になってきております。つまり何処の農家の誰が作った山田錦が天覧山さんのところで、この酒になったんだとしたいわけです。農家にとっても励みになると思います。
そこでまず情報がうまく流れるようにしようと言うのがこの山田錦倶楽部の大切な役割の一つなんです。 ところで一般的には鑑評会で金賞を取れるのが兵庫の山田錦との認識が強いようですが、秋上がりと言う点で天覧山さんはどうお感じですか。

五十嵐:春に味が出ていないといけないわけですが、酒の中に糖分が残っている方が秋上がりして良くなるわけです。ですから冗談で金賞を受賞しない方が秋上がりが良いかも知れないなんて言うこともあります。兵庫の山田錦を使うと春に十分味が出ている上に、さらに秋上がりをすると言うことなんです。
最近3〜4年寝かせた古酒を造っているんですが、古酒は不純物が残っていません。兵庫の山田錦を使ったものは味幅も出るんですよ。これでもお分かりいただけると思います。


前のページへ ページ移動 次のページへ
  2/3  
山田錦倶楽部
トップへ

ごあいさつ

山田錦ってなあに?
 
蔵元巡りの旅

灘の蔵元巡り

吟醸蔵巡り

日本酒を楽しむ

Copyright © JA-minori 2002