灘の蔵元巡り
山田錦倶楽部の主宰者、JAみのり代表理事組合長神戸秀典が、山田錦で高級酒を造る全国の蔵元のお話をお伺いいたします。
第9回
株式会社本田商店

代表取締役会長 本田武義氏


所在地:〒671-1226 姫路市網干区高田361-1
電話:0792-73-0151 Fax.0792-74-2454
http://www.kansai.ne.jp/taturiki/

上:本田会長
右:本田商店外観
(株式会社本田商店HPから)
「龍力」の目指している酒とは、それは米の酒であり米の味であるのです。口当たりに米の旨味が拡がり、喉を通ると適度にキレが良くほのかな余韻のあるお酒、そしてなんと言っても飲んで頂いた方に「美味しい!」と言って頂ける日本酒を目指します。お酒の味は米の味という考えでお米にこだわり続けている。
(株式会社本田商店HPから抜粋)

●優れた杜氏さんや山田錦農家の方を人間国宝に
左:神戸組合長   右:本田会長
神戸組合長(以下神戸):今日は何人もで押しかけましてすみません。どうぞよろしくお願いいたします。まずはお蔵元の歴史、エポックなどについてお聞かせいただけますでしょうか。

本田会長(以下本田):こちらこそよろしくお願いいたします。歴史につきましては当社のホームページにも出してありますが、簡単に申し上げますと、うちは元々江戸時代からの杜氏の出です。現在の網干(あぼし)に自分の酒蔵を創ったのが1923年(大正12年)です。
エポックと言いますと、昭和45年頃に醸造協会の講習会に出たところ、先生から「本田君こんな酒があるんや」と言われて見せられたのが加賀の萬歳楽さんの大吟醸酒「白山」と言う酒でした。 飲ませてもらってびっくりで、皆ものを言わなくなってしもうた。
「こんな酒があるんか」と驚いてしもうたんです。
それからですわ、皆で色々やってみると失敗も多いし、いっしょに研究しながらやろうと、日本吟醸酒協会と言うの作ることになった。
36社で始めて、音頭を取っていたら「あんたがやりなさい」と言うことで、講習会などをやって13年間理事長を務めさせていただきました。

神戸:私どもJAみのりも参加している「日本美米美酒美食倶楽部」は、立ち上げられてからもう10年くらいですか。

本田:そうですね。日本吟醸酒協会とは違う分野と言うことで、今度は酒と食との相性をと閃いたもので、1993年(平成5年)に立ち上げさせていただきました。
それで「美米」のところはJAみのりさんに、「美酒」のところはうちが世話人で全国の吟醸酒の蔵元が、「美食」は服部料理学校の服部幸應先生にやってもらうことことにしました。会場は東京の帝国ホテルを主会場としています。

神戸:毎回、趣向を凝らした盛大なイベントが行なわれて、各界からのお客様がたくさん参加されていますが、究極的にこの倶楽部の目指すのはどんなところですか。

日本米美酒美食倶楽部での服部先生
本田:職人さんを文化財として認めてもらうことです。優れた杜氏さんや、酒米、特に山田錦を上手に作る農家の方に人間国宝になってもらいたいんです。
日本は昔から瑞穂(=水穂:みずほ)の国と言われていながらおかしいやないですか。
皿やとか壷やとかの容器には人間国宝がいっぱいいて、なんで中身のお酒やお米には一人もいないのか。
昭和27年に決まった今の文化財保護法では人間国宝指定の対象分野が「芸能と工芸」と言うことになっとるんです。これに「または伝統産業」の文字を付け加えて欲しいんですわ。
そのためにはいろんな方に日本酒の凄い世界を知ってもらうことです。これをせなあかんと言うことで始めたんです。
当面の課題はまず山田錦の生産農家から人間国宝を出すことですわ。そしたら次に山田錦で造る酒の杜氏さん、その次が食の部で京料理や浪速料理とか酒と合う料理で人間国宝を出したいんです。
決してオーナーやなくて、職人の人間国宝ですね。 そんな料理で皆で一杯やるのが楽しみなんです。それを材料にして既に昭和30年に人間国宝になられた四世「井上八千代」に続くべく、京舞の先生達も人間国宝を狙ようになれば楽しいやないですか。

神戸:山田錦の農家を人間国宝にと言うのは、前から考えられていたことなんですか。

本田:そうです。物事の順番が逆なんですわ。器や着物の方から人間国宝を決めていて、中身が後になっとるんやから。これをぜひともあるべきかたちにしないとな。これは私の願い、欲望ですわ。

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