吟醸蔵巡り 第8回 銀盤酒造株式会社
代表取締役社長 堀川 勲氏
●一に原料、二に設備、三に技術
大型低温貯蔵タンク群
神戸:得意とする吟醸酒が売りにくくなるばかりでなく、大手さんの参入により同じ土俵上でお互いに力を試すことになる訳ですが、それには技術と機械設備への投資が求められるようになってきたわけですね。

堀川:おっしゃる通りです。例えば、最近マイナス5度貯蔵が流行って来ました。
うちの蔵でも約9,000石近くはこの状態のタンクに入っています。あとは0度〜プラス5度(9,000石程)と一般のプラス10度程度の3段階で貯蔵をしています。
このマイナス5度貯蔵ですと、数年経っても酒質に変化が出ないのです。一般の飯用米を使って仕込んだ酒でさえ2年経っても色が着かないし質も変わらなくなりました。
こういうことが技術の進歩で出てきたわけです。

神戸:精米機もそうですね。一般の方は精米機というとみんな同じだと思われるようですが、お酒造りの精米機は違うんですね。
私が言うのも変ですが、簡単に言うと普通の精米機は、玄米の表面を少し削るだけですから、秒単位で精米されます。
それに対してお酒造りのための精米機は、例えば吟醸酒ですと、玄米を外側から50%削り取ってしまわなければならないので、高性能で高価な機械が必要のようですね。


モニターデータは全て分析される
堀川:その通りで削ると言うより寧ろ研磨すると言った方が適切と思いますが、砥石でできた精米ロールというものを使います。
それで熱を持つとお米の質に影響がでますので、ゆっくりと何日もかけて磨きます。
例えばうちの「純米大吟醸 米の芯」では、文字通り元のお米の30%、つまり芯だけにするわけですから、冷やしながら昼夜兼行で5日間かけて仕上げます。
担当者は7時間体制ですが、今の精米機はコンピュータ制御になっていますので、夜間は無人自動制御運転となります。
機械の状態が自動的に記録されるようになっていますので、万が一不具合が生じた時の原因もデータで全て分析できるようにしています。
冬の間は、18基ある精米機をフル稼働させて、次々と仕込んで行くわけです。


所狭しと18基が林立するコンピュータ管理精米機
神戸精米機を18基もお持ちなんですか。そうするとこの面ではもう年季の入った蔵人さんの力はそんなに必要ではないんですか。

堀川:ある意味ではそうですね。
ただどんなに機械化しても、十分経験を積んだ人はやはり必要ですね。やはり「機械+データ、それに杜氏のサポート」ですね。
それに、データではっきり出るのですが、ここまで削ることに耐えられる酒米となるとやはり兵庫の山田錦になるわけです。
電子顕微鏡で見ると一般の米とは組織が違うことが分かりますよ。
結局、現代の日本酒造りは「一に原料、二に設備、三に技術」の順だと思います。
昔はこれが逆だったんですが、世の中が進んで来て、発達した技術と設備を使うことでクリア出来ることが増えたんですね。
その結果原料の米だけは最初から良いものを選ぶことがより重要になったわけです。

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