吟醸蔵巡り 第7回 亀岡酒造株式会社
代表取締役社長 亀岡 徹氏
●酒造りは地域づくりの武器
蒸米工程を前にして
神戸:なるほど、自社でお米作りをされているのは、昔からの伝統を踏襲されているとも言えるわけですね。
本題から外れますが亀岡さんは山登りをされたり、こちら五十崎町を流れる小田川を守る運動等、地域づくりで活躍されているようですね。

亀岡:うちみたいな田舎の小さな蔵は、何かに特化して行く必要があると思うんです。そして「求める商売」ではなくて、「求められる商売」でありたいと思っています。
私の発想は普通とは発想が逆なのかも知れません。つまり企業は地域づくりの道具なんだと思っています。だからいかにすれば地域の役に立てるかを考えているんです。
私は、大学の醸造科を出てから3年ほど酒問屋で働いて、帰ってきた時には特に目標はありませんでした。
元来自然は好きだったのでそちらの活動はしてたんですが、いろんな活動に関わるようになったのは私が師と仰ぐ湯布院の中谷健太郎さんからの影響でした。

神戸:あの方は湯布院映画祭や音楽祭の実現を通して、一大温泉地別府の奥にあって目立たない湯布院を、すっかり国際的に有名にされましたね。中谷さんは、以前映画関係のお仕事をされていたようですが、ご両親から湯布院の温泉旅館を受け継がれた事がきっかけで今のような活動をされるようになったようですね。


様々な実験用具が所狭しと並ぶ研究室
亀岡:よくご存じですね。つまり、たまたま私の家が酒造りをしていたから、これを地域づくりの武器にしているだけで、大工だったらノコやカナヅチをどう使かえば地域に貢献できるかを考えたはずです。
たぶん、酒造りだけにこだわってしまっていたら、今の亀岡酒造はなかったでしょうね。
米作りや酒造りのひとつひとつを深く掘り下げ、狭い地域に特化することによって、世界に通用する価値を見いだし、それを発信していきたいと考えました。
お酒が素晴らしいのは米が素晴らしいからで、米が素晴らしいのは水であり地域が素晴らしいのだとの思いに至ったんです。


宮沢賢治にちなんだ名称の純米長期低温熟成酒
神戸:そんな千代の亀さんがお造りになるお酒はほとんど吟醸造りですね。

亀岡:うちの酒は純米吟醸造りと長期低温熟成に特徴があります。これをご理解を頂き買っていただけるようになるまで、5〜6年かかりました。
今でも生産量の1割程度は普通酒を造っていますが、これも本当は止めてしまいたいのです。
でも昔からのお得意さんから、晩酌やチョットした贈答用にそんな高い酒なんて使えないから、普通酒がどうしても欲しいと言われるので造っているんです。そんな訳で、普通酒は近所の販売店さんに取りに来ていただいています。

神戸:販売店さんに取りに来ていただけると言うのは、やはり「地域のために」という千代の亀さんの姿勢が地域の中で理解されているからでしょうね。

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