灘の蔵元巡り
山田錦倶楽部の主宰者、JAみのり代表理事組合長神戸秀典が、山田錦で高級酒を造る全国の蔵元のお話をお伺いいたします。
第5回 澤乃井醸造元 小澤酒造株式会社
代表取締役社長小澤順一郎氏


所在地:
〒741-0083東京都青梅市沢井2-770
TEL  0428-78-8215 FAX 0428-78-8195 
http://www.sawanoi-sake.com/

左:小澤社長 右:神戸組合長

小澤酒造前景


 古来より人々は神に捧げるものとして酒を醸してまいりました。酒は神と人間との仲立ちとして、人々が世の幸せを願い、五穀豊穣を祈るとき欠くことのできない役割を果たしてまいりました。それゆえ酒造りは敬虔な神事であり、そこには杜氏たちの厳しく研ぎ澄まされた精神潔斎がなければなりません。
 仕込みの一本一本に対する真剣な心配りと、丁寧で優れた技があってこそ真に心のこもった酒が生まれてくるのだと信じております。秩父古生層の岩盤を掘り抜いた洞窟の奥から湧き出る仕込み水、連なる山々と豊かな緑、澄み切った奥多摩の空気、選りすぐった原料米、磨き上げられた技、それを結集して一滴の美酒として仕上げるのは、全社挙げての真心と研鑽努力であるというのが澤乃井の信条です。
 日本に米があり、奥多摩に名水がある限り、澤乃井は美酒を造り続けてまいります。
(小澤酒造株式会社のホームページから)

●良質の湧き水が澤乃井の出発点
神戸組合長
神戸組合長(以下神戸):東京にはいろいろな用事で時々参っているのですが、澤乃井さんのお蔵にお伺いするのは初めてです。
澤乃井さんはお酒を造られているだけでなく、美術館や食事処などをいくつもやっていらっしゃいますが、今日はその辺りも含めてお話をお伺いできればと考えておりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

小澤社長(以下小澤):こちらこそ宜しくお願いいたします。都心部とは違い同じ東京と言いましても、凄い山の中で驚かれたでしょう。東京駅からでも中央線、青梅線と乗り継いでこちらまで1時間半以上かかります。

神戸:東京の奥座敷と言ったところですね。われわれが住んでいるJAみのりの地域以上に奥まった感じのようだと話していたところです。
さてこの急峻な地形から見てもお米がそれ程多く穫れた地域とは思えませんし、どんなかたちでこちらのお蔵は発祥されたのでしょうか。

河野会長
小澤社長
小澤:このあたりは多摩川の上流で谷川が作った少しばかりの土地に、JR青梅線の線路と青梅街道が並行して走っており、昔からわずかな耕地があるだけです。
そんな場所ですが約300年前、元禄15年の古文書に酒造業を営んでいたことが記されています。
恐らく本格的な商売としてではなく、祭事用のお酒だったと思います。

神戸:日本酒はなかなかお米のご飯が食べられなかった時代にも、あえて神様に供えるために貴重なお米を使って酒に仕込んだわけですから、「御神酒(おみき)」の性格が強かったわけですね。
全国の蔵元さんを廻らせていただいていますが、ほとんどのお蔵元は代々その土地の名家で、庄屋さんのようにお米を取りまとめていたようです。
澤乃井さんの場合はお米の生産量があまり多くないこの地域で繁栄されてきたのは、やはり周辺の状況から見て林業が絡んでいるのでしょうか。


岩盤を掘り抜いた横穴
清冽な源泉
小澤:この辺りは林業も盛んでしたが、その歴史はそんなに古くはありません。
江戸の繁栄に併せるように植林が進んだ様です。それ以外にも炭などの山の産物を多摩川の流れを利用して江戸に供給する事によって生活が出来ていたんですね。
また蔵の前の青梅街道は言うならば甲州街道の裏街道にあたり、それなりに人の往来はあったようです。
酒造りの発端は、駅名にもなっていますが、このあたりは沢井と言う地名で、良質の湧き水があり、この水脈を見つけたことが大きかったのだと思います。
後でご覧いただけると思いますが、蔵の横の斜面に岩盤を堀抜いた横穴の中に源泉があります。


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