●酒の世界を広げる挑戦を積極的に展開
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| 利き酒中の山川社長 |
神戸:山川社長は日本酒の他に地ビールも造られているし、一大ハーブ園もやっていらっしゃいます。しかし元々は大学の醸造科を出られて国税庁醸造試験所にいらっしゃった日本酒の専門家ですし、最初にいわゆる地酒ブームを起こした仕掛人のお一人ですね。
山川:元々梅錦はこの愛媛県の川之江で生まれ育った酒です。「梅錦からのメッセージ」にも書きましたが、仕込水、原料米、そして杜氏の技を発揮しやすい環境など、旨い酒をつくるための条件を第一に考え、実践しています。
その上で、伝統を礎にしながら、今の時代の空気を感じ、新しい提案を行っていきたいとの考え方を現実化したのが、梅錦ビールと梅錦ガーデン等の展開です。
酒をひとつの食文化としてとらえ、さらに酒を飲む楽しみを広げていくこと。それが、私たちの挑戦なんです。
一方で兵庫県産の山田錦との付き合いも随分と長くなりました。先代が全国新酒鑑評会で連続12年間金賞を獲った酒がJAみのりさんのエリア内、滝野町産山田錦で造られたものでした。それ以来、こういうと語弊があるかもしれませんが、兵庫県産の山田錦でないと賞が獲れないので買い続けています。
神戸:「社長のページ」でも「全国新酒鑑評会(1)」の「金賞を取る為には、YK35(原料は山田錦、熊本酵母を使い、35%まで精米する)が必要だと言われてきた」から始まり、何度も山田錦に触れられていますね。
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昔ながらの麹蓋で麹(こうじ)を造る
(写真提供:梅錦)
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山川:我々は山田錦にぶら下がってここまで来たわけです。鑑評会で最高の金賞を取る為には山田錦を使うことが必須条件です。
技術者として考えると、兵庫県産の山田錦に本当に優れた成分があるのか、分析的なデータがあるわけでは無いんです。
しかし受賞酒は山田錦で造られた酒ばかりで、結果的に鑑評会で好成績を収めるノウハウが山田錦で蓄積されたものだけになってしまったわけです。
また鑑評会というのは絶対評価ではなく、50から100種類程の酒を次々と利(き)く相対評価ですから、どうしても他の米で仕込んだ酒は異質で分が悪いんです。
神戸:全国の山田錦生産量の過半を占めるJAみのりの代表者がいうと奇異に聞こえるかも知れませんが、いろんな酒米つまり酒造好適米で出来た個性ある酒が切磋琢磨して、日本酒と酒造好適米全体のレベルが上がって行くのが理想です。
そうすれば山田錦を仕込んで出来た酒の特徴も際立つし、料理や場に合わせた日本酒の使い分けもしやすくなるのではないでしょうか。
梅錦さんはさまざまな品種の酒米の性質を生かした、いろんなの種類の日本酒を出していらっしゃいますね。
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林立する精米機(写真提供:梅錦)
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発酵タンク内の吟醸酒(写真提供::梅錦) |
山川:吟醸酒製品の多くは山田錦を使っていますが、地元愛媛県の奨励品種の松山三井(まつやまみい)は無論のこと、雄町(おまち)、八反錦(はったんにしき)、玉栄(たまさかえ)、黄金まさり等、いろんな食との相性を考え、それぞれの特性を生かした製品を造っています。
これだけ海外旅行に出かける人が増え、海外の食文化が入ってくると、端的にいえばいろんなアジアンフードがコンビニ弁当に現れているように、日本の食文化が変わってきている。
日本酒が日本料理に合うのは分かっていても、日本人の食自体が変化しているわけですから、これを読み込んだ酒が求められるはずです。
それから地酒ブームというのは1979年(昭和54年)に始まり、週刊誌や食関係の雑誌メディアによって、酒の銘柄の由来、純米酒、吟醸酒等の基礎知識から、杜氏の出身地による酒質の違いや特定の酵母など、マニアックな方向に進みました。
梅錦も随分と取り上げられ、地酒ブームを引っ張ったかたちとなりましたが、近年、再びいろんな雑誌で日本酒が取り上げられています。
今度は昨今のワインブームを経ており、ワインの世界から日本酒を見直す動きとなっているようです。(参照「ワインから日本酒へ」)
神戸:私どもの山田錦倶楽部も、ちょうどワインの考え方がそうであるように、日本酒の世界を広げるために、梅錦さんは無論のこと、いくつもの蔵元さんが個別に始められていますが、食との取り合わせや飲む環境ごとに性格の異なる日本酒を紹介できればと考えています。
それに例年ヨーロッパで行われるいろんなワインコンクールで、日本から参加した蔵元さんの日本酒が勝っていますね。
山川:日本酒はワインには負けていません。国内での日本酒の消費量が下がっていますが、フランスでのワインの消費量も長期低落傾向が続いています。
一国の社会状況が変わり、肉体を酷使する労働から頭脳労働など軽い労働に変わると、求められる酒もアルコール度の高いものから低いものに変わります。
それにフランスもアメリカナイズされ健康指向が高まり、ワインがミネラルウォーターに負けている訳です。ドイツもそうですね。
その意味から考えると、焼酎はお湯やウーロン茶等、自分の好みのもので、好みの濃度に割って飲む不完全さが、逆に強みになっています。
私は日本のワインブームはあくまでも一時的なものだと思います。
現代の日本酒は技術水準が非常に高く、かつ味としても完成した酒です。その完成度の高さゆえに、そのまま飲むのが一番美味しいわけです。
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