●地域リーダー 藤本勝巳さんは森本地区の山田錦部会のリーダーを務め、平成14年度から「認定農業者」となっています。
「リーダーですか? いや、若い人がおれへんし、年輩の人ばっかりに頼っとっては気の毒やから、何とかやらせてもらってるだけや」とおっしゃっていますが…。
|
認定農業者(注) |
|
農業経営の規模拡大や集約化、複合化などによって、経営改善を計画的に進めようとする意欲的な農業者を、地域農業の担い手として育成・支援しようとするもの。市町に「農業経営改善支援センター」を設置し、農業委員会や農協・各機関が支援する。
認定農業者には、税制上の特典や農業経営資金が有利に借り入れできる。 |
|
|
●圃場の状態
圃場整備事業は昭和63年頃完了。
土は砂礫。田の減水が多く、代掻きを丁寧に行っても3日程度しか水が保てないようです。
しかし水源が加古川の支流杉原川で水量は豊富にあるようで、「水?心配ないですよ。周辺が干ばつで困るようなことがあってもここは水が無くなることは無いですよ」とおしゃいました。
ほとんどの田圃は自宅周辺の段差の少ない平地に30aの区画で並び、日照時間も長くて条件にばらつきが少ない。
しかし一部の田圃は少し離れた住宅が点在する中にあって、田の形状も古くからのままで作業がやりずらいとのことです。
●作付け
お父上が以前専業農家として経営されていた時には、3haの田圃を作っていたとのことですが、藤本さんが引き継いだ時には、お父上の体力の関係もあって1ha程に減らしました。
その後平成13年は1.5haに、本年は2haに増やして山田錦を作っています。
●地域農業の状況
転作田の作業は集団で行なわれていますが、稲作りは各個人となっています。
地区毎に「山田錦部会」があり、これが町全体の組織として結成されています。
森本地区の山田錦部会の「会員は22軒で、平均年齢は60歳を既に越えている。若い方から言うと、50歳が1名、次に私の52歳でその上はみんな60歳以上や。会員のおやじの手伝いをする息子はおるんやけど、農業を引き継いでと言うやつはなかなかおらへん。今の会員がだんだんとリタイヤする事は目に見えているし、営農組合の設立も考えなあかん時期に来とるんかもしれんなあ」という状況のようです。
●農業経営の考え方
「田圃と農業は守って行かなあかんと思ってる。日本の国の食糧自給率が40%台と言うのは不安やし、輸入食料は安全性も気になるところや。やっぱり自分達の食べるものは自分達で作らなあかん」これには大半の方々は賛成でしょう。
山田錦については、「兵庫の山田錦の生産地としては、森本地区は決して先発組ではないので、村米制度がある訳でもないし、100%JAみのりさんを頼りにしているんや。
隣の坂本地区は特定のお蔵さんと村米制度の関係を築いていらっしゃるようでうらやましいですわ。これからはこの山田錦倶楽部等を通して、もっといろんな情報交換をしてもらって、お蔵のニーズに合う山田錦を栽培するようJAみのりさんにはもっともっと指導してもらいたいですわ」と取材者に対して発破をかけられました。
●農業経営に対する意識の転機
藤本さんは話が栽培技術の事になると話に熱を帯びて来ます。
ご本人は「私は、農業を全然知らんので、他人(ひと)に教えてもらうばっかりや。色々な人から『こんな方法が有る』『こんな方法が良かった』などと聞くと小さ目の田圃でやってみるんや。これはということになったら、次の年は取り入れることにしとるんや」とのこと。
意欲的に農業について勉強されている理由について。
「おやじから引き継いで農業をやりかけた時、近所のうわさ話が耳に入って来たんや。『おやっさんは、いい米を上手に作っていたが、息子はええ加減な米しかよう作らへん』なんて言われていた」それを聞いて「よし、わしの稲を作ってやると奮起したんや」これが、新しい事への挑戦の原動力になっているのでしょう。
●農業に対する心構え
そんなことがあってから農業に力を入れるようになったが「隣の人は10aの代掻きを30分でやった。
いやいや誰かさんは15分で済ませた」等々には耳を貸さない。早いことより、後の作業をやり易くすることの方が良い作物を作るには重要だとおっしゃいました。
それに「見栄えの競争」にも関心は無いとのこと。特に「田植えが欠株無しで青々と見える」とか「隣より早く分けつして田がにぎやかになった」等は、逆に過繁茂等の原因になりがちなので、意識しないようにしている。ときっぱりおしゃいました。
●兼業
藤本さんは織物工場と農業の兼業農家と言う事になります。
|
| <コラム>取材ノート |
| 約束した時間に伺うと、母屋の向かい側の平屋だが背の高いスレート葺きの建物から「ガシャン、ガシャンという大きな音が聞こえて来て、織物の機械が座っている工場だと直ぐに分かりました。
藤本さんは工場の中かと思いながら、進むと母屋の並びの建物の入口に止めたトラックの荷台に向かって、何か機械の部品のような物に触わりながら「私は機械を触るのが好きでね」と一言。 |
|
|
|
奥さんも一緒に仕事をされているのですが、機械が故障したりするとやはり藤本さんご自身が対応する必要があり、工場から長い時間目を離すことは出来ません。
織物工場の仕事の合間に水管理やちょっとした作業も可能なので「サラリーマンより少し自由がきくかな」と言われましたが、織物の納期の関係で農作業との両立は相当のご苦労が有るようです。
|